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NXR,WXRシリーズ

WANインタフェース編

3. PPPモバイル設定

3-13. PPPオンデマンド接続設定

ある指定した宛先に対して通信を開始する際にPPP接続を開始することができます。これにより指定した宛先に対する通信が発生していない間は、PPP接続を行いません。また、無通信切断タイマにより一定時間無通信状態が継続すると、PPP回線を切断することも可能です。これにより無駄なパケットによる課金を抑えることができ、従量課金のPPP回線を利用する場合に有効な設定です。

 

【 構成図 】

fnw_wi_mobile_13

  • PPPオンデマンド接続設定と無通信切断タイマー(アイドルタイムアウト)を設定します。無通信切断タイマー経過後、PPP回線を切断し、再びオンデマンド状態となります。

 

 【 設定データ 】

設定項目 設定内容
LAN側インタフェース ethernet0のIP アドレス 192.168.10.1/24
WAN側インタフェース mobile0 ppp0
ppp0のIPアドレス 動的IPアドレス
IPマスカレード 有効
SPIフィルタ 有効
MSS自動調整 オート
IPリダイレクト 無効
PPP接続用ユーザID foma
PPP接続用パスワード foma
APN mopera.flat.foma.ne.jp
CID 5
PDPタイプ IP
発信用電話番号 *99***5#
ダイアルタイムアウト 30秒
オンデマンド接続 有効
アイドルタイムアウト 30秒
スタティックルート 宛先IP アドレス 0.0.0.0/0
ゲートウェイ(インタフェース) ppp0
モバイルエラーリカバリー リセット
LED ext0 mobile0の電波状態表示
DNS サービス 有効
ルートサーバ 有効

  【 設定例 】

nxr120#configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
nxr120(config)#interface ethernet 0
nxr120(config-if)#ip address 192.168.10.1/24
nxr120(config-if)#exit
nxr120(config)#ip route 0.0.0.0/0 ppp 0
nxr120(config)#interface ppp 0
nxr120(config-ppp)#ip address negotiated
nxr120(config-ppp)#ip masquerade
nxr120(config-ppp)#ip spi-filter
nxr120(config-ppp)#ip tcp adjust-mss auto
nxr120(config-ppp)#no ip redirects
nxr120(config-ppp)#ppp username foma password foma
nxr120(config-ppp)#mobile apn mopera.flat.foma.ne.jp cid 5 pdp-type ip
nxr120(config-ppp)#dial-up string *99***5#
nxr120(config-ppp)#dial-up timeout 30
nxr120(config-ppp)#ppp on-demand
nxr120(config-ppp)#ppp idle-timeout 30
nxr120(config-ppp)#exit
nxr120(config)#mobile error-recovery-reset
nxr120(config)#mobile 0 ppp 0
nxr120(config)#system led ext 0 signal-level mobile 0
nxr120(config)#dns
nxr120(config-dns)#service enable
nxr120(config-dns)#root enable
nxr120(config-dns)#exit
nxr120(config)#exit
nxr120#save config

【 設定例解説 】

1. <LAN側(ethernet0)インタフェース設定>
nxr120(config)#interface ethernet 0
nxr120(config-if)#ip address 192.168.10.1/24

ethernet0インタフェースのIPアドレスを設定します。

 

2. <スタティックルート設定>
nxr120(config)#ip route 0.0.0.0/0 ppp 0

デフォルトルートを設定します。

 

3. <WAN側(ppp0)インタフェース設定>
nxr120(config)#interface ppp 0
nxr120(config-ppp)#ip address negotiated

ppp0インタフェースのIPアドレスが動的IPアドレスの場合は、negotiatedを設定します。
(☞) IPアドレスにnegotiatedを設定した場合は、プロバイダ等から払い出されたIPアドレス(IPCPで取得したIPアドレス)を利用します。

nxr120(config-ppp)#ip masquerade
nxr120(config-ppp)#ip spi-filter
nxr120(config-ppp)#ip tcp adjust-mss auto
nxr120(config-ppp)#no ip redirects

IPマスカレード、ステートフルパケットインスペクションを有効に設定します。また、TCP MSSの調整機能をオート、ICMPリダイレクト機能を無効に設定します。

nxr120(config-ppp)#ppp username foma password foma

PPP接続で使用するユーザIDとパスワードを設定します。
(☞) mopera Uの定額データプランでは、通常ユーザID,パスワードは任意となりますので、ここではユーザIDをfoma,パスワードをfomaとします。

nxr120(config-ppp)#mobile apn mopera.flat.foma.ne.jp cid 5 pdp-type ip

APN,CID,pdp-typeを設定します。
(☞) すでに利用予定のAPN情報がモバイルデータ通信端末に登録されている場合は、mobile apnコマンドを設定しなくてもdial-up stringコマンドで、利用予定のAPN情報に対応したCIDを指定することによりPPP接続することが可能です。

nxr120(config-ppp)#dial-up string *99***5#

発信用の電話番号を設定します。
(☞) 電話番号の#の前の数字は、CIDを表しています。

nxr120(config-ppp)#dial-up timeout 30

ダイアルタイムアウトを設定します。

nxr120(config-ppp)#ppp on-demand

PPPオンデマンド接続を設定します。

(☞) ppp0インタフェースからパケットを送信する際にPPP回線の接続を開始します。

nxr120(config-ppp)#ppp idle-timeout 30

アイドルタイムアウトを設定します。

(☞) 指定時間内にデータの送受信がなければ、PPP回線を切断し、再びオンデマンド状態に遷移します。

 

4. <モバイルエラーリカバリー設定>
nxr120(config)#mobile error-recovery-reset

モバイルデータ通信端末との通信に重大な問題が発生する可能性が高いと判断した場合、モバイルデータ通信端末のリセットを行うように設定します。

 

5. <モバイル割り当て設定>
 nxr120(config)#mobile 0 ppp 0

mobile0と認識されているモバイルデータ通信端末とppp0インタフェースの関連づけを行います。
モバイルデータ通信端末をPPPインタフェースで使用する場合は、mobileコマンドによるPPPインタフェースへの関連付けが必要になります。
(☞) mobile0に割り当てられているモバイルデータ通信端末の情報は、show mobile 0コマンドで確認することができます。

 

6. <システムLED設定>
nxr120(config)#system led ext 0 signal-level mobile 0

モバイルデータ通信端末の電波状態をAUX LED1,2の点灯/消灯で表示するように設定します。

 

7. <DNS設定>
nxr120(config)#dns
nxr120(config-dns)#service enable

DNSサービスを有効にします。

 

nxr120(config-dns)#root enable

ルートDNSサーバを有効にします。

(☞) DNS設定内でaddressコマンドによるDNSサーバIPアドレスが未登録で、かつ回線未接続状態時は名前解決要求パケットを受信しても転送するDNSサーバIPアドレスが設定されていないため、名前解決ができません。よって、ルートDNSサーバを有効にすることにより、名前解決要求パケットを契機にPPP回線の接続を開始し、結果、名前解決ができるようになります。なお、ルートDNSサーバを利用せずにDNS設定内のaddressコマンドで静的にDNSサーバのIPアドレスを設定して利用することも可能です。

 

【 端末の設定例 】

IP アドレス 192.168.10.100
サブネットマスク 255.255.255.0
デフォルトゲートウェイ 192.168.10.1
DNS サーバ